8月29日 銀座へ出かけて、ランチにイタリアンの食べ放題をいただく。デザートも揃っておなか充実のお店はビルの8階にあり、同じビルの階下に相田みつを美術館も入っていた。ランチバイキングには相田みつを美術館帰りの奥様グループも見うけられた。皆さんトレイにのせたお皿を色とりどりに盛り付けて楽しそう。今階下の美術館で、「生きるって何だろう」なんて考えたりしたかもしれない方々も、すっかり気分を入れ替えているようです。 「しあわせは 自分のおなかがきめる」 ということでしょう。 8月23日 遅ればせながら、8月も残り10日というところになって、夏が戻ってきました。「ああ、夏ってこんなふうだったんだなぁ」と思う。 「最高気温は34度」というラジオ放送を聞いてから、書庫へ本をとりに行く。陽を浴びて自転車をこぎ、本を手に店へ戻る。ドアを開けて中に入ったとたん、鼻孔へクーラーの冷気が入ってきた。 「あ、糊のきいた空気だ」と思った。パリッと硬い空気は、どんよりと重い外とは対照的。 毎夏愛用のアジアンテイストのジャンパースカートも今日はじめて着ました。今年はまだ着ていない夏の普段着がいっぱいある。もう少し、夏よ行かないで—。 8月14日 どう考えても秋だろう、と思わせるこのごろの涼しさです。猛暑の夏でも8月の2週目位になると朝晩は涼風が吹き、「今年の夏も一段落ね」と笑みをかわすものですが、今年は淋しさばかりがつのります。「ああ夏だ」とうだる声をあげたのは2・3日のことでした。今日一日降り続いた雨は、まさに秋雨—。長袖の上着をはおりました。このまま季節は移っていってしまうのでしょうか。何より淋しいのは大好きなこの句の気分を堪能できないことです。 秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる 暑い夏を過ごしてこそ味わえる一陣の風を、今年は感動をもってむかえられなかった。もしもう一度残暑が戻ってきても、もう なごりの夏 の感は否めないでしょう。 「表があれば、裏がある」 これで来春の花粉症は軽くすむのだ、と自分に言いきかせて、雨音を空しくきいています。 8月9日 最近気になった言葉が二つ。 一つ目は標語。先週末、私は奥日光にいた。梅雨明け直後で気持ちのいい晴天だった。散歩をすると、「おるまい とるまい 高山植物」という看板を何箇所かで見た。うまい思った。 「とらないで下さい」「とらないで」「とるな」だと、どれも言われてやらされている感じがする。「いいじゃん、オレひとりぐらい」と悪ぶる人もいるかもしれない。 「おるまい」「とるまい」だと、自分の意志を感じる。目で読んだだけでも、「もって帰りたいけど…、でも、自然環境を守る為に、オレはとらない」と思わせる気がする。気に入ったので、標語をメモして帰ってきた。 二つ目の気になる言葉は、夜半に自宅の冷蔵庫の前で聞いた。 「おなかいっぱいだよ。 でも、別腹で食っちゃおうかな。」 おなかいっぱいと言いつつ、何となく冷蔵庫を覗いてしまう。「ああ、気持ちわかる。伝わる言葉だなぁ」と思った。けど、もちろん、実際の私のセリフは、「やめとけば」だ。夜別腹を発動させるといいことないもんね。 8月8日 「う、しまった」と思うのは、電車に乗って出かける用事ができて、手にしたバックにサイフとカギを入れたのに、本を忘れたことに気付いた時。私はもう駅への道を歩いている。駅と店は近いが、戻って本をみつくろってカバンに入れるとなると約束の時間に遅れてしまうかもしれない。迷い考えながらも、足は着々と駅に向って歩を進めている。頭が本を探す。『目まいのする散歩』が読みかけだった。そうだあの棚に置いてある。 実は先日まで、武田泰淳は読んだことがなかった。それがある日店にねこの写真集を買いに来たお客さんが店主と話している時に、「この、武田花さんって武田泰淳の娘さんなんですよね」と言ったのだ。「アラ、そうだったのか」と私は少し離れた自分の机で、耳だけ反応した。何冊かのねこの本をネットにあげる時、「武田花」という名前がよく出てくるのにひっかかり、著者名のところに「武田花」と入れたのだ。お客様が帰られてから私は文庫の棚へ行き武田泰淳を探して『目まいのする散歩』を手にとった。はたして出てきた。泰淳の妻に置き去りにされて泣いている娘、がんこに自己をまげない幼時の我が子—。少しずつ読んで、読みかけだ。 と、そうこう考えている間に、もう駅の券売機の前についてしまった。「ああ、もう情報誌しかないな」と思い直して新宿まで切符を買う。改札を通った時にフリーペーパーのラックから「京成らいん8月号」を手にとった。活字なしで一人で電車に乗るのは淋しいから。そして今、「京成らいん」を台にして、銀行の粗品のメモ紙に、この文章を書いている。「そうか、読む以外に書くという手もあったな。」もう池袋まで来た。あと4駅で新宿だ。 2003年7月のユーコさん勝手におしゃべり 2003年6月のユーコさん勝手におしゃべり 2003年5月のユーコさん勝手におしゃべり 2003年4月のユーコさん勝手におしゃべり 2003年3月のユーコさん勝手におしゃべり 2003年2月のユーコさん勝手におしゃべり 2003年1月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年12月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年11月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年10月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年9月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年8月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年7月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年6月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年5月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年4月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年3月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年2月のユーコさん勝手におしゃべり 2002年1月のユーコさん勝手におしゃべり 2001年12月のユーコさん勝手におしゃべり 2001年11月のユーコさん勝手におしゃべり 2001年10月のユーコさん勝手におしゃべり 2001年9月のユーコさん勝手におしゃべり 2001年8月のユーコさん勝手におしゃべり 2001年7月のユーコさん勝手におしゃべり 2001年6月のユーコさん勝手におしゃべり 2001年5月のユーコさん勝手におしゃべり 2001年4月のユーコさん勝手におしゃべり |
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