ユーコさん勝手におしゃべり |
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4月28日 どうだぁ、あっぱれ、と叫びだしそうなくらいの五月晴れ。ゴールデンウィーク直前、皆様いかがお過ごしですか。 昨日、群馬の四万温泉へ行ってきました。桜が満開でした。車が坂を上るにつれて時間が戻り、気がつくと、梅桃桜いっぺんの春が来ていました。温泉に入った宿の庭で、「さんしゅうの木」が満開。小さなかれんな花を、はじめて見た。山にはけやきの新芽がたくさん。黄色い花が咲いているようだ。これが秋にはみごとな黄葉となる。一年で、成長と循環が見られる、山のしあわせ。 たっぷりのお風呂の後は、開通2日目の金精峠を通って奥日光へ。雪のガードレールができている道の横では、スキー客が滑っている。今年初めて出かける早春の奥日光。雪にさわる。桜はまだ、一ヶ月も先だろうと地元の方が話していた。また来月、タイムスリップしに参ります。 さて、一足先に行楽してしまったので、ゴールデンウィークは営業します。店の脇では、ジャスミンがすばらしい香りでお客様をお迎えする予定です。 お客様からの振込み票をチェックしていると、通信欄に「こんなに易く、安くはないにしても、久しく捜していた本が手に入ってもいいものでしょうか?」とコメントいただきました。古本屋が、きっといつか捜す人がいると思ってとっておく本、価格はその保管料だと思ってくださればよいかと思います。ただ一人、捜している人にたどりつけばいい。もしその一人がいなければ、またそういう人が現れるまで、何年でも書棚で、書庫で、待たせておく。捨てられる多くの本の中で、残されじっと一人を待っていた本とお客様とをつなぐのが、本屋の仕事なのかと思います。 4月21日 雨が降ったり陽が照ったり、春の天気はめまぐるしい。 「八重桜を見に行こう」と考えながら歩いているところへ、よそ様の玄関脇に藤が咲いているのを見かける。「あら、藤もやってきた。藤ならば…」とまたぞろ行きたいところが増えてしまう。数日前にはまだ毛虫状のつぼみだったのに。 桜前線の北上は、どこらへんまで行ったでしょうか。 うちのエニシダのつぼみは黄色く色づき始めました。 4月15日 昨日上野の森へ行った。満開を数日過ぎた花がハラハラ降りかかり、桜並木から清水観音堂を見上げると、まるで絵の世界だ。と思ったら、清水観音堂の下には何台も三脚が立っていて、ファインダー越しに「この世の春の瞬間」をとらえようとカメラマンたちがかまえていた。花見客もすっかりいなくなった平日の午前、上野公園は驚くほど静かで平和。国立博物館へ「ベルリンの至宝展」を見に行くと、博物館の中庭一般開放のおまけがついていた。今まで気にはなっていたけれど裏のお庭に入るのは初めて。春と秋に一般開放期間があり、春の回は17日までだそうだ。よく手入れされた庭園に桜がびっしり降りそそぎ、雪がつもったようだ。敷石の上を歩くようになっているので、点在する茶室の庭の花びらは汚れず、好きなように鎮座したり舞ったりしている。そして池には花びらの数に負けない位びっしりと小さなおたまじゃくし。良い春をみせてもらった。好きな庭園は他にもあるけれど、ここのよいところは、裏が寛永寺の広い敷地で、すぐ上の空にビルがみえないところだ。都心の庭園は、周囲に現実があふれていて、庭にいる間は束の間の休息なのだとかんたんに気付かせてしまう。上野は博物館を出てもやはり公園で、夢からさめるまでしばし時間をくれる。木々の間に建つ野口英世像に「どうも」とあいさつして、現実世界に戻る。帰りに不忍池のほとりの青空骨董市で、持ち手が桜の木でできたグローブ革のバックに一目惚れして買う。1000円。お買い物も上出来。 4月10日 昨日、小用があり隅田川沿いを車で通った。桜が満開だ。途中街路では柳の葉が柳型に出来上がっている。芽が葉になるのの早いこと、めきめきめきと音がするようだ。 もっと花の名前、木の名前を知りたい。「小さなモクレン」と思っていたのは「こぶし」の花だと、風に乗って聞こえてきたおばさま同志の立ち話から知った。春は梅、桃、桜と思っていたが、杏の花もけっこうあることをつい最近知った。もっともっと覚えたい。道端の木にみんな名札がついているといい。この考え、少し前にも持った。サッカーの国際試合だ。TV画面に人がいっぱい写る。知らない国の選手たち。解説で「誰々がいい位置にいる」とかいわれても見分けがつかない。選手はみんな大きく名札をつけてくれればいいなと思ったのだ。 話しは戻って、隅田土手、桜に誘われ車をとめてちょっと散策した。昼前に帰店。うちの店の隣は勤勉なお惣菜屋さん。昼限定のお弁当(ボリュ−ム満点260円)を買いに行くと、「お花見、行ったんですか」と聞かれた。「イヤ、まだです。明日行くんですよ」と答えた。お弁当買って店に戻ると、店主が「カガミ、見てみ」という。「?」とカガミをのぞくと、髪の間にひとひらふたひら桜の花びらが。「わ、かわいい」と思った後、お隣で「花見はまだ」と発言したことを思い出す。 お花を眺め歩くのは「お花見」じゃなくて、敷物しいてお弁当ひろげて花をめでるのが「お花見」だから、あの、この桜は…と、心中言い訳で満載。 そして、本当のお花見は、今日、近所の公園でしっかりしてまいりました。おなかいっぱい。 4月6日 コーヒーの本を買うお客様がいるとその方のお宅で、あるいはお店でコーヒーをいただいた気になる。こんなに勉強されている方なら、おいしいコーヒーいれてくれるんだろうなと想像する。 「私すっぱいコーヒーはだめなんです。コク深め酸味弱めでお願いします。」 と、遠い他県へ行く本の梱包をしながら心の中でリクエストしてみる。 自分でも日に三度はサイフォンにむかう。それにプラスペーパードリップを一・二回かな。自己流てきとう入れだが、飲みたい時にいれるから、いつもおいしい。スーパーに行くと果物売り場の一番いいところにいつも苺が並ぶようになった。 「好きなもの、苺、珈琲、花、美人、ふところ手して宇宙見物」 今年も寺田寅彦のこのことばが思い出されるシーズンになった。 今週は、桜の様子が気になって、美術館めぐりを口実に、皇居(国立近代美術館)、砧公園(世田谷美術館)と、上を見ながら歩いた。来週は、いよいよ上野。近所の堀切菖蒲園にも桜があって、心躍る。 4月3日 今朝、今まで丸裸だったむくげの木に新芽が出ているのを発見した。出ないときは出ないのに出るときは、あっちにもこっちにも一度に出る。「どうだ、びっくりさせてやろう」と幹の中で枝たちが相談していたに違いないと思う。ムスカリの花も青く色づいてきた。 春の花壇の新陳代謝が急に早くなった。次々咲いて次々終るパンジービオラの花がら摘みにうれしく追われる。昨秋苗を植えるときに考えた品種や色の並びを試される時が来た。「どうですか、秋の私。あなたの考えた通りですか?」 途中花盗人にとられちゃって2・3入れ替えたところはあるが、あとは私の植えた通りに咲いてくれた。「来春はこうしよう」ともうもくろんでいる。 今店の窓には、井伏鱒二の 「良い月夜です 岡にのぼれば萬朶の桜です」 の色紙額が外向きにかかっている。うちの、一週間(くらい)限定の、小規模桜まつりだ。
2005年3月のユーコさん勝手におしゃべり |