『ユーコさん勝手におしゃべり』 バックナンバー目次

1月2日午前10:30-11:45 NHK総合テレビ ドキュメンタリードラマ「恋す る一葉 -平成の女子大生がたどる明治の青春」に、当店青木正美が出演いたします。当店店舗や、普段見られない内部の映像もご覧になれます。(11月1日NHK BSハイビジョンで放映されたものの再放送です。瀬戸内寂聴さんも出演されます。)
12月22日
 ここ数日を、気分よく過ごしている。月曜の朝、早く目覚めたが何をする用があるわけでもなかったので、勧められて借りていた「すばらしき哉、人生 It's a wonderful life」のビデオを見た。その日は一日楽しく過ごせた。名作映画の力で、ぐっとお尻を持ち上げてもらった。
 そして夕べ、「下妻物語」を観た。これも、ちょうど映画一本分位の時間がポコッとあいて、家人の借りたビデオがそこにあったからだった。見たら、おもしろかった。たまたま観た2本が、2本ともうれし楽しく、心あたたかい。
 よい年末だ。あと数日、あと何本、何冊出合えるだろうか。
 昼食を買いに近所のパン屋さんに行った。選んで5つパンを買う。食べ始めると2つでおなかいっぱいになる。みんな食べたいから買ったのに。年齢はこんなに重ねて、数が大きくなったのに、おなかは大きくならない、と、誰につけようもない文句を言ってみる。仕方なく残りのパンは袋に戻して、おやつ用にまわす。
 仕事をしながら考える。今と20年前とおなかの大きさはあまりかわらない。去年と今年と来年の自分の中身はどうだろうか。経験は、人の本質をかえるだろうか。
 さまざま思ううちに、年末になるといつもうかぶ句が、今年も心にやってくる。
  「去年今年 貫く棒の如きもの (高浜虚子)」
 そうだ、何もかわらない。来年も、また春がきて、夏がやってくる。いつも年末になると、この句を思い出し、力を得る。

12月17日
 12月も気付くと半ばになっている。何だか気ぜわしく過ごしていて、細切れの時間をあれやこれやと様々なことに使っている。まとまって1冊すっかり本を読むこともできずにいる。そんな時はそんな状況を受け入れるしかない。1冊集中読みではなく、軽めの本を数冊平行して、定番日替わりメニューのように寝室に並べ、「今日はコレ、」と選んでいる。
 狙い目は、ひと昔前の名作、であった。
 子どもの頃、あるいは青年期、一世を風靡してよく題名を聞いた小説、読むのを逸して、あるいは読む年齢に達していなくてそのまま過ごしていた本たちだ。題名だけが一人歩きしているだけに、「今更」とも思い、手が出せない。妙に俗っぽいような気もしている。でも手にとってみると、けっこうはまる。やっぱり売れただけのことはあるんだな、と絶版文庫を探す人の気持ちに近づく。
 本を回すローテーションのひとつに、今やしっかりその地位をしめている。

12月9日
 店主は食べることが好きである。世の中の好きなものベスト5を選べといったら、その中にはきっと食べることが入るに違いない。そんな店主が先日、
 「『体にいい』は、水戸黄門の印籠だな」 と言った。
 「体にいいって言えば、何でも許される。これあんまりおいしくないんですけど、体にいいんですよって」
 きっかけはテレビらしい。そこに出ていた料理研究女史が、アシスタントに、「焦げてますよ」と言われて、
 「アラアラ、でも、燃えなきゃいいのよ」 とコメントしたそうだ。
またその料理研究家が、「これは体にいいのよ」を連発するので、イヤになってスイッチを切った。体によければ何でもいいのかと詰め寄りたい気持ちで、さっきのことばが出てきた。
 あれがいい、これがいいいと次々出てくるのをみていると、大抵の食品にそれなりの効用があるようだ。いろんなものをおいしくいただく、これが一番体にも心にもよかろうと私も思う。

2004年11月のユーコさん勝手におしゃべり
2004年10月のユーコさん勝手におしゃべり
それ以前の「ユーコさん勝手におしゃべり」

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