11月30日 満を持して、六義園へ行く。紅葉のthe best of this year を目指して。ほぼあたりだったと思う。満喫した。コンパクトにまとまった園は、一周まわると旅気分が味わえる。仕事前の一時間ですっかりリフレッシュした。 本日の収穫は、保育園のお散歩集団と園内のいろんなところで出会えたこと。子どもの姿はとても楽しい。落ち葉拾いをするために一人ずつビニール袋を手に持っていた。最初に出会った時はハラハラ舞い散る紅葉に無邪気に喜んでいた。小学校の遠足だともう仲良しは固定化していて、だいたい決まった人同士としかおしゃべりしないし、手もつながない。でも2歳から4歳くらいの子どもたちは、一人一人が独立して自分の楽しみを楽しみ、気楽にどの子ともかかわりをもっている。先生は、園児はビニール袋にどんぐりとかきれいな葉っぱを収穫して持って帰ると意図していたようだった。 何度目かに池のほとりで出会ったとき、一群れの子どもたちは嬉々として、池のほとりにいっぱい落ちた枯松葉を袋に詰めていた。ベンチに座ってそれを見ながら、同行した店主と、「何にするんだろうね」「亀でも飼ってるんじゃない、冬眠用に枯葉集めてるとか」「でも松葉だよ」と話していた。一人の女の子に店主が「その葉っぱ何にするの」と聞くと、その子は、「葉っぱじゃないよ」と言う。「ワラの家をつくるんだよ」って笑う。なるほど、うそこのお家の屋根にのっければ、ワラの家みたい。3匹の子ぶたの絵本が頭に浮かぶ。レンガの家よりワラの家の方が手造り感があって子どもには魅力かもしれない。何人かの発案が拡がって、園でワラの家をつくる構想が立ち上がっているらしい。みんなうれしそうだった。でも、そのうち一人の先生が、子どもの集めているものに気付いて言った。 「それは葉っぱじゃないよ。そんなのいっぱい袋に入れたら、きれいな葉っぱ、持って帰れなくなっちゃうよ。 それに、その袋持って手つないで、園までずーっと歩くんだよ。」 子どもの顔がパッとくもった。私は「エ、ちがうんだよ先生」と思ったけど、声は心の中だけで、口からは出せない。袋いっぱいの松葉を袋からひとつかみずつ出して地面に戻す子がいた。何人かが、袋の中身を半分ほどにした。中に一人、もう袋を逆さにして全部出しちゃった子もいた。一生懸命いれたのにな、真面目な子なんだろうな、先生の思うきれいな落葉に転向するんだろうか—。 ちょっと釈然としない気持ちになったけれど、一番いっぱい袋パンパンに枯松葉を詰めていた男の子を捜すと、彼は勇敢にも一つかみも葉っぱを出してはいなかった。しかも袋をベンチの上に置き、袋の口が開かないように何重にも何重にもむすぶ作業をしていた。よーしガンバレガンバレ、やりたいことをやり通すんだぞと、遠くから力をこめて応援した。そしてさっき「ワラの家をつくるんだよ」と教えてくれた女の子も、しっかり松葉の袋を持っていた。先生のことばなど聞こえなかったかのように、私たちと目が合うとにっこり笑ってまた袋を見せてくれた。ガンバレ ワラの家、園庭いっぱい拡げて遊びな。 何だかすごく元気がでた出来事だった。 11月27日 あまりの好天に驚く。強風の一夜のあと、台風一過のように穏やかな大小春日和がやってきた。横浜に住む母を誘い鶴見の三ツ池公園へ足を伸ばす。園内の池にはゆりかもめが到来していた。広々とした公園をゆっくり散策する。 「やっぱりこれだけ木があると空気がいいね」 と母が言う。 「前に田舎のおばさんが来た時、『東京に来ると、同じ空気をいろんな人がすったりはいたりしてる』って言ったのよ。 『オレが吐いた空気をすぐとなりの人が吸う。オレも人の吐いたやつをまた吸ってる』って。」 セコセコと区画された街、オフィスビル、電車の中。思い当たるところはいくつもあった。おばさんの家は、新潟の能生海岸にある。一人分の空気の範囲は広い。 その新鮮な感想の説得力に、帰りの電車の中で、妙に周りの人の息のゆくえが気になった。 11月26日 先週の木曜日、文京区駒込の六義園へ行った。次の日から一週間紅葉のライトアップがあると入り口に告知してあったが、紅葉にはまだ少し早いようであった。「ここは見事でしょう」と、次に来た時用にめぼしをつけながら、一時間かけてぐるっと園内を回った。 街路の並木が色づいてきて、そろそろきたなと気になっている。入場料300円を出すからには、ベストの一日を狙いたい。今日、足立区の都市農業公園に行ってきた。桜は紅葉も終盤で、きれいな落ち葉がいっぱいだった。飼っている亀の冬眠用に、スーパーのビニール袋2袋分の落葉拾いをして帰宅した。来週早々にはいよいよ再び六義園だ。いつになく紅葉に貪欲な今秋です。 11月22日 猫を飼っているわけではない。でも、書庫に行くといつも、書庫脇の陽だまりに2匹の猫がねている。うちの自転車のタイヤをまくらにしてゴロンフニャンと体をいっぱいに伸ばして寝ていたりする。 先日、猫のいる陽だまりにあるエアコンの室外機の上に、メダカなどの入ったプラスチックの虫かごが置かれた。たぶん書庫の隣家に住む小1と幼稚園の兄妹のペットだろうと思う。猫は、上手に室外機にのり、小さな水槽を傷つけない。まるでそれを守るようにとなりに陣取り、おだやかに寝ている。 飼っているわけではないけれど、何ともいえず愛着を感じる。 11月11日 今朝うれしいことがあった。 郵便局から送られてくる振替用紙を確認していた時、火曜発千葉のお客様からの通信欄に 「館山はまだ暖かく、紅葉の盛りは一ヶ月位後でしょうか。これから秋本番です。」 と書いてあったのだ。顔いっぱい笑みがひろがった。クククッとうれしい声まで出そうになった。 実は、今週の月曜日、房総に出かけ一泊してきたのだ。たくさんの魚介類をいただいて、おなかいっぱいツアーを満喫し、景色を堪能した。火曜はそれはそれは暖かだった。 館山も通った。お客様のおところ欄に書いてある町名も、道路標示で見ていて記憶にあった。本が行って、後を追うように私が行って、お客様が郵便局に向かうころ私もそこを通っていた。 そうです、これから秋に向かう館山はいいところでしたよ。 そして、車窓から少しずつ色づく千葉の山々を見ながら帰ってきました。こんなに近くに幾重にも重なる山がある。豊かな自然に感謝。そして地のお魚がおいしかったです。 11月10日 今青木書店は、勝手に「アリス・フェアー」。 書庫の階段に飾ってあった不思議の国のアリスと鏡の国のアリスの挿絵(1880・90年代プリント版)が、書庫の階段に書棚を造ったために行き場がなくなっていた。静かにしまわれていたそれを、店主が店に持ってきた。例によって夜中の突貫工事で、額を下げる金属バーを設け、期間不明「アリス・フェアー」がはじまった。…画像はこちら… 「どれ位、飾っとくんですか」 と聞いたら、 「ん〜、一週間位かな」 とのこと。いつの間にか始まり予告なく消え去る突発的祭りです。興味のある方はお早めにどうぞ。しまわれちゃったらもう、いつ出てくるかわかりません。 ちなみに非売品です。 11月5日 本屋さんで川本三郎氏の「映画を見ればわかること」を購入。10月31日に発売だが、なかなか買いに出れなかった。やっと会えたのね、という感じ。この本、カバーが当店写真となっている。ちょっと照れくさく、うれしい。見開きで夜の店舗外観が写っている。 ここを見た方だけのかくしワザポイントは、背表紙側の写真右上にある色紙。小さくて文字まで見えませんが、これ著者川本三郎氏の色紙です。 さっそく仕事が終わったら、今晩から読ませていただきます。 11月4日 湿度の低い秋晴れの日がやってきた。開店前の一時間、書庫に風を通しに行く。書庫には、手入れをされた本たちが並んでいる。品番をつける際に全冊パラフィンがかけられる。このパラフィンは優秀で、湿度が高いとシワッとした外見となり、湿気が高いことを知らせると共に、中の本を守る。この秋は雨が多くて、このシワッとしたサインが出ていた。待ちに待った好天に書庫の雨戸を開け遮光カーテンを開く。まだ手を入れられぬまま眠っている本も並んでいて、ぐるっと見ると必ず一つ二つのみっけものがある。棚を眺めたりちょっと読書したりしているうちにパラフィンもすっかり姿勢よく伸びる。また窓を閉め雨戸をいれ遮光カーテンをする。電気を消して光の漏れの無いことを確認して外に出た。書庫から店までの道端では猫がいっぱいひなたぼっこしていて、「いい天気だね」と声をかけながら帰店した。
2004年10月のユーコさん勝手におしゃべり |
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