『ユーコさん勝手におしゃべり』 バックナンバー目次

7月23日
 今夏、関東地方は記録的な猛暑が続く。歩けば自然に口が開いてしまう暑さの中、突然クーラーが壊れた。この店舗を建てたときからついていたそうなので、30年も使い続けたことになる。いつ壊れても誰も文句はいえない。たいていのモノは自分で修理してしまう店主も寿命にはお手上げ。本の入っている場所ならば有無もなく新クーラーが入るところだが、クーラーが壊れたのは居住空間であった。先日店舗に取材に来た出版社の方が、「棚のレイアウトがおもしろいですね」と言い、店主が、「イヤ、本を詰められる空間にみんな棚を入れただけです」と答えていたのを聞いた。その通りである。ついでに店主が「階段もみんな本なんですよ」と言っていた。その通りだ。店を通って二階へと、大型家電の出入りする空間はない。大きな買い物をすると前日から棚をどかしたり本の大移動をしたり大仕事となる。そこで今夏はクーラーなしで過ごすことになり、ウィンドファンを設置し、壁に産業扇(工場にあるような大扇風機)をつけた。居住空間のクーラーはなくなったが、店と書庫のクーラーは働いている。あまり暑い日は本をいたわるために、人気のない書庫にタイマーをセットしてクーラーをつけに行く。
 「こちとら暑い部屋でごはん食べてるのに、おまえらいい身分だなぁ」
と本に言ったら、
 「何のおかげでごはん食べられてるんだ」
と本に言われるんだろう。
 汗かき生活も数日過ぎ、20日の火曜日、ほぼ一ヶ月ぶりに一日休みをとった。奥日光へと向かう車中でラジオが「今日も暑くなりそうですね」と言っている。「今日も暑いんだって」となぜか心がはずむ。日帰りながら涼しい避暑地の一日を過ごし、帰りの車でラジオをつけると、
 「今日東京は最高気温39.5度と言ってたけど、僕が銀座で実測したら40.5度あったよ。そして新橋ではなんと44度、これはもう気の毒—。」
とDJが語っている。ナント—。背広のサラリーマンの街の気温が44度…。予想を超える気温に、「今日、休みにしてよかった」と、静かに思った。
 末筆になりましたが、 暑中お見舞い申し上げます。今夏もがんばっていきましょう。

7月18日
 今夏の新顔は「るこう草」。
少し前にホームセンターの園芸コーナーで初めて見た。一つの株に赤と白の小さな星型の花をつける。園芸担当の店員さんによると、「朝顔の仲間で朝顔市でも売っている」とのこと。きっぱりした花色とそよそよ揺れる針状の葉に心が動かされたが、既に美しくあんどん造りにされているそれは完成されていて、花を観賞したら種を取るだけとなっている。種は3-5月に蒔くそうで、既に販売終了、来年のお楽しみ、と諦めた。
 それからしばらくして、別の園芸店でるこう草の苗を見つけた。コレコレ、価格も安いし何より育てる喜びを与えてくれる。そして今朝、うちに来てから初めての花を見る。「よしよし、よくやった」と花と共に健闘をたたえあった。
 仕事に追いまくられて、夕べは眠ってからも仕事の夢を見ていた。何度も何度も同じ失敗の繰り返しという悪夢で、しかも明け方、急な雨音で起こされるという最悪の目覚めだった。
 でも、けなげなるこう草はじめ、サフィニア、ランタナ、トレニア、バラ、トケイソウ、ムクゲ…小さな花壇に肩寄せ合って咲いた花たちが、私の一日をすっかりうれしく始めさせてくれた。
(るこう草はヒルガオ科なので朝が苦手な方でも花が見られます。)

7月7日
 猛暑です。本をとりに書庫へ自転車を走らせているうちに、我が身が溶けてアスファルトと同化してしまうのではないかと思うほどの気温です。昨日も「不快指数80パーセント」とラジオが言っていました。こんな気候でも20パーセントの人は不快と感じないのかとそのことの方に感心し、その20パーセントの端然とした人になりたいものだと思っていました。
 でも、今日、書庫に本をとりに行った時、ドアを開けると、隣家との境の塀に小さなカマキリがいるのを見つけ、うれしくて、一瞬暑さを忘れた。地面はコンクリートで、塀とコンクリとの隙間にわずかにある雑草の緑に命を見つけて、「夏も良い」と思った。不快指数の少数派20パーセントに立つことのできたひとときでした。

7月5日
 サクランボたべてプラムたべて桃たべて西瓜たべて、夏が来た。食卓に登場するカレーの回数が増えて夏が来た。カレンダーをめくって夏っぽい絵柄が出たときは「まだ気が早いよ」と思ったが、もう違和感はなくなった。「海だろ、そーだよな」と当然の目でカレンダーを見る。

7月1日
 今年のカレンダーも半分過ぎた。毎度のことながら時の流れの早さに驚かされます。

2004年6月のユーコさん勝手におしゃべり
2004年5月のユーコさん勝手におしゃべり
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