ユーコさん勝手におしゃべり

5月12日
 ある夕方、アスターの葉のてっぺんにテントウムシの幼虫が動かずにいるのを見た。
 翌朝、淡いオレンジ色のできたてのさなぎになっていた。店の前に置いてあるプランターの上なので、通るたび目に入る。だんだん色が濃くなり、テントウムシの橙色と黒になっていく。観察が毎日の楽しみになった。

5月11日
 自転車に乗って、堀切から浅草橋まで、店舗用品の買い物に行く。
 堀切橋で荒川を渡り、汐入大橋から隅田川を下って隅田公園から街へ出る。ここから浅草橋までは、どこもお祭り気分だ。
 5月初めから6月あたままで、毎週どこかの神社で例祭がある。ふだんでもにぎやかな浅草界隈に祭りのポスターが貼られ、レンタル着物のインバウンド観光客にまじって、本物のはっぴ姿の人々がゆきかっていた。
 浅草橋は紅白マロニエまつり開催中だった。パレードの喧噪を抜け、いつもと変わらぬ店で買い物をして、いつものとんかつ屋さんでお昼を食べた。
 帰り道は、スカイツリー方面へ出て、たばこと塩の博物館で、「浮世絵でめぐる隅田川の名所」展を観た。
 変わったところと変わらぬところ。思ったより来館者も少なくて、おもしろくゆったり見られた。
 人は、人の集まるところばかりに集まりたいものなのだろうか。

5月3日
 ジャスミンが咲き揃いゴールデンウイークがやってきた。
 ハニーサックルが咲き始めると、風薫る五月の到来だ。
 今や春はあふれかえり、二か月前には春を探して歩いていた道は、初夏へと進みだしている。
 雨の朝、上野の東京国立博物館へ、「蔦屋重三郎展」と「浮世絵現代展」を観にでかけた。
 博物館の門を入ると、正面にあるシンボルツリーのユリノキに花が咲いていた。そのどっしりとした太い幹からは思いもよらない可憐な花だ。枝いっぱいに黄色と赤の混じった炎のような花が乗っていた。満開に立ち会えるのは何年かぶりで、この貴重な出会いにカメラを向けた。
 展覧会は二会場とも充実の作品群と展示で、目も頭も足もフル回転だった。
 すっかり興奮した心身は、甘味処みはし本店で癒す。店のウィンドウに「若桃のクリームあんみつ」の表示があって、疲れは一気に吹き飛んだ。この季節にしか出会えない特別な一品である。実は去年は食べそこなって、今年こそ時を外すまいと秘かに願っていたのだ。
 若桃のクリームあんみつに白玉を追加して注文する。実によい一日だった。
 シャキシャキの若桃、今年もう一回くらい、食べられるといいな。
 

4月のユーコさん勝手におしゃべり
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