ユーコさん勝手におしゃべり |
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8月28日 雨が続いて、しばらく花壇を見ないうちに、プランターのあちこちに来春の水仙が芽吹いていた。おとといは、自転車で通った街角に、萩の花をみつけた。今年最初の萩の花だ。もう一回着る機会があるかと思ってハンガーにかけておいた薄手のワンピースに、もう出番はないだろう。晩夏を体現するように、力尽き路上に横たわる蝉の姿を、日に何度も見るようになった。 水仙やクロッカス、ムスカリの芽をみても、来春がやってくるのか不安になるような大雨続きの8月の終わりだ。 夏の花が終わって、カラになったプランターに、元気にラティスの壁を這うアイビーを適当に切って挿してみた。息の長い植物を植えるという自分の行為に、次の季節への希望の芽を見い出した。 8月19日 私の店番机の横に本が一冊、もう一年くらい置いてある。あるお客様のための一冊だ。その人は時々、佐賀から電話をかけてきた。名指しした文学書があるといつも律儀に現金書留で送金してくれて、お金がついてから本を送ってくださいと言う。少し多めに入っていて、お釣り分は切手を書籍と同封した。今回はお釣りは入れないでどこでもよいのでどこかへ寄付してくださいと言われ、匿名でユニセフに寄付したこともあった。気に入った本は、気に入った人がいるとあげてしまうらしく、同じ本を何度か購入した。 インターネットの目録を見て注文するわけではないので、本はいつもすぐにあるとは限らないが、こちらも希望に沿うように書庫から本を捜しだしたりもした。 その最後の電話から、今までにない程、間があいている。リクエストのあった「遠藤周作『沈黙』函入、付録書評集付」は、既にその人の手から何人かの手に渡っているはずで、もう何冊目になるだろうか。また電話しますと言ったきり、随分経った。いつも、病院の帰りにバスを待つ間に電話しているんです、と言っていた。身体があまり強くないとチラリともらしたことがあった。 とりおかれた本とともに、本の主人となるべき人の身を案じている。 8月5日 名付けようのない天候の夏だ。例年なら今頃は「猛暑」だとか「少雨」「冷夏」など、その夏を語る冠が決まっている。今年はものすごく暑かったかと思うと、朝晩涼しかったり、いきなりの大雨落雷に驚かされたり、どうにも落ち着かない。夏の計画も狂いっぱなしで、そろそろ河口湖畔・天上山のあじさい見物にと思っていたが、うちから中央道に向かう方面の首都高速道路に復旧見込みのたたない程の大事故が起きて足止めをくらった。今週は豪雨のダメ押しも入り、山のハイキングは行けそうもない。 つくった時間を何とか楽しまんと、大宮の鉄道博物館へ行ったり、映画を見たり、はからずも、今夏のキーワード「安近短」に乗っかっているのだった。 明日は、佐倉の国立歴史民俗博物館へ行こうと思う。 7月のユーコさん勝手におしゃべり |