ユーコさん勝手におしゃべり

7月24日
 盛夏です。
 各所で花火大会の頃となりました。葛飾区は、荒川・中川・江戸川と川が多く、店舗の近くの荒川を越えればすぐ隅田川も流れています。連日のように、昼間ドーーンドーンと当夜の花火決行を知らせる花火の音が聞こえます。
 小さい頃、「暑いから昼寝しなさい」と母に言われて「イヤだ、眠くない。絶対に昼寝なんかしない」とダダをこねて泣き、「寝ない寝ない」と言っていたはずが、気付くと薄暗い夕方になっていたことがありました。泣きながら眠っていたのかと、子供ながらに悔しくて恥ずかしかったことを思い出します。
 各地の花火をひととおり終えると、朝晩ぐっと涼しくなって、このうだるような暑さからも解放されるのかと思うと、盛夏の短さに、切ないようないとおしいような気持ちになります。
 少し前、梅雨時に、花壇の虫たちに目をつぶっていたおかげで、今夏は色々なニョロニョロ系が、様々なヒラヒラ系となって、プランターの花に蜜を吸いにやってきます。「あんまり駆除しなかった恩返しに来てくれているのかな」と毎朝の楽しみが増えました。
 暑中お見舞い、申し上げます。
 体調に留意して、よい夏をお過ごしください。

7月17日
 毎日文字を使う生活をしている。ほとんど一日中、読んだり書いたりしている日もある。文字の羅列や語彙は、日常の中でどんどん通り過ぎ、忘れられる。
 でも時々、パッと光がさしたように輝くことばがある。
 先日、お客様とのメールのやり取りの中で、当店の名前に敬称をつけ忘れた先方が、
 「誠に申し訳ございません。何卒御海容の程お願い致します。」 とすぐに追伸メールを送ってくださった。メールでは、相手の名前部分はコピーペーストがほとんどなので敬称のつけ忘れはささいなことだ。丁寧に追伸メールをくださる律儀さもあいまって、「海容」という語彙は、パソコンの画面の中で光っていた。
 「海のような広さで受け入れてください」と、目の前に景色までひろがるようなことばだ。
 出会ったとたんにうれしくて、自分の頭の中の「いいことば」辞典に入れる。機会があったら使ってみよう、と考えるだけでわくわくする。

 今年も、新たな自筆物・草稿類を100点ほどアップいたしました。

7月8日
 東京が初の真夏日を記録した日、今年ひとつ目のむくげの花が咲いた。今年も一気に夏が来た。梅雨はまだあけていないが、雨の間にさす陽は透明な夏色だ。間もなく来る真夏を迎えうつ心の準備も整ってきた。
 しかし、店番をしていると夏至からはや2週間、日の入りが一番遅くなるころからすでに1週間経過したことを感じる。少し前には7時の閉店まで外の灯りをつけなくてもいられたのに、今はもう暗く感じる。
 気分の上の夏はこれからピークなのに、それを感じる時には本当のピークは終わっている…って、人生にも通じる気がして、夕暮れの外を眺めて少しセンチになった。
 だがしかし、「夏は夜」が良いのだった、と枕草子のフレーズを思い出し、すぐに元気が戻った。

7月3日
 7月になった。
 気付かぬうちに今年のカレンダーの半分は切り取られていた。
 しまっておいた麦藁帽子を出して出かける。自転車をこぐと時々ふわっと麦藁の香りが鼻まで届く。
 菖蒲まつりの終わった堀切菖蒲園はすっかり花が刈り取られ、来年の準備のために、トラックが入り、植え替え作業が始まっている。静かになった園内で、大きな亀が2匹、工事の進行を見守っていた。
 6月が終わった気がしないのは、今年まだ奥日光へ出かけていないからだ。例年ならもう2・3回は行って花を愛で、季節の動きを確かめているころなのに、今年は雨にたたられて、予定が狂いっぱなしだ。
 今月こそは、梅雨の晴れ間に、「抱きつきたいほどいい天気! こんなおひさまを待っていた!」という日が来るといい。そしてそれがちょうど仕事の休みの時だと、喜びは例年の2倍にも3倍にもなるのだけれどなぁ。
 旅の友に持っていく本はもう決まっているのに、なかなか旅に出られず、少しずつ寝室で読み進めているうちに、もう何冊終わってしまっただろうか。

6月のユーコさん勝手におしゃべり
それ以前の「おしゃべり」