ユーコさん勝手におしゃべり

8月31日
 秋雨前線が雨と涼風をつれて南下してきた。猛暑一転で、服装に戸惑う。
 店の前の京成電鉄の土手に朝顔が咲いている。毎朝たっぷり咲いているが、昨日咲いたものはひとつもない。毎朝ちがう朝顔が、毎日そっくりに咲いている。
 人も自分の一生以上は生きられない。一生涯は、長く、そして短い。様々なコレクターの方と接していると思いはそこに行きつく。それをせつないと思うのは、秋が迫ってきたからか。
 作家の草稿に朱が入っている。編集者の方の校正だ。筆者の用いた旧かな旧漢字を、ことごとく新かな新漢字に変換してある。文章は直していないが、草稿にはたくさんの朱が入っている。
 「先生、これはこういう風にしますよ。」と承諾は得ているのだろうが、作家の力のこもった端正な文字に朱線がひかれる。
 先日この草稿を買いに来られた方が
 「この原稿に赤を入れるのは、勇気がいりますよね」
とおっしゃられた。作家のファンである方からしてみれば、しのびない行為と思えるのだろう。書いた人、直した人、収集する人、研究する人、それぞれ同時期に、重なるように、また少し離れて、ポカッポカッと咲き続ける朝顔のようである。後世に残る仕事をすれば、よい種ができる。

8月21日
 連日暑い。室内飼いのうさぎはバテ気味で、保冷剤になついている。冷凍庫から出てくる保冷剤を当初は疑っていたが、最近では自分からアゴをのせていっしょに寝ている。カメは暑さにはへっちゃらで、外の石の上で連日甲羅干しの日々を送っている。私は、ちょっと秋めいてきたのに気をよくして、ビオラの種とハンギングプランターを購入した。しかし、今はまだ外で園芸作業をするような気候ではない。
 来春を夢見る種蒔き風の吹く日を、じっと待っている。

8月19日
 猛烈だった気温が急に「コン!」と下がった日の朝、それを合図のように、夏の間身を潜めていた赤いミニバラがひとつ咲いた。暖冬で紅葉しないまま年を越し心配していたルリマツリモドキも、同じ日に今夏最初の青い花をつけた。
 たった一日で空気が入れかわった。昼間は暑くても、朝晩だけでも気温が下がればありがたい。こうして記録的な猛暑だった今夏も思い出になっていくのだろうか。

8月16日
 今夏も、7月20日の第一弾97点に続きまして、本日、作家草稿・書簡59点をアップいたしました。ひと月ほど写真との付け合せや画像処理にかかりましたが、今年も全品画像付でご案内させていただくことができました。今まで大切にされていたものを、また更に大切にしていただける環境にお渡しする橋渡しをさせていただけることに、喜びを感じます。 よろしくお願いいたします。

8月15日
 暑いというより熱いと表現したほうがいいくらいのあつさの夏です。
夜でも「涼しい」には程遠く、店が終わる頃、用事で外へ出て口をついて出た言葉は、「やっと ぬるくなったわ」でした。
 あと10日もすれば朝晩は秋風が入り込むようになるのでしょう。それまでもうしばらく、上手に体力を蓄えて、ドーンと読書の秋を迎えましょう。
 無人の書庫に今朝もクーラーのタイマーをセットしてきました。大切な本たちもバテないように出番を待っています。

8月9日
 猛暑お見舞い申し上げます。
 昨晩テレビをつけたらたまたま東京ローカルのMXTV(UHF放送)が天気予報をやっていた。見慣れた地名に全て晴れマークがついている。
 「続いて週間天気です」とアナウンサーが言い画面が変わる。一週間分全部ハレ。
 店主が「なげやりな天気だな」とテレビに向かって言った。
予報官は真剣に予想しているはずなのだが、このまとわりつくような暑さと、「なげやりな天気」の組み合わせがおかしくて、思わず吹き出した。
 全国の天気なら多少メリハリがあり、風が吹いたり雨が降ったりするところもあるが、今週の東京はどこへ行ってももう逃れようがないらしいのだ。
 この「なげやりな天気」ともうしばらく付き合わなければならない。

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