ユーコさん勝手におしゃべり

9月26日
 秋の陽射しがきれいな日だ。萩が満開の頃だろうと思いたって、堀切菖蒲園へ行く。店主も誘ってみた。昨日の強風で外見はぼうぼうだけど、萩のトンネルの中に入ってしまえば、外界から遮断された萩の世界になる。自分の周りには萩の葉と赤紫の花しかない、夢の世界だ。店主は一度通っただけで「ただのぼうぼうだ」と言う。私は二度三度とくぐる。
 「あのね、この中にいるとお姫様になったみたい。女王様が私が歩くときは花をまいてっていう気持ちがわかるわ。」
 って言っても、「何だそれ。ぜんぜんわかんないよ」と言う。

 何はともあれ、午前中きれいなものを見ると、一日中気分よくいられる。安上がりな幸せものだ。

9月24日
 台風がやってくる。その前兆の雨の朝、今季ひとつめの赤いミニバラが咲いていた。夏の間にすっかり茂ったホットリップスも雨の朝に咲いた。季節が動いていくのが感じられる。夏の反省と今後の展望がムクムクわき上がってくる。新しい土を買うのはココ、苗と球根はアソコで、と脳内ではもう園芸店をまわっている。来春の設計が、いつの間に考えていたのかもう頭の中では出来上がっている。
 チューリップの球根は20コ。買いに行くのはパンジーの苗の売出しが始まってから。年に3回咲いてくれるけど、春に咲くミニバラが一番きれいなことはもう知っている。今からわくわくする。
 先日茨城の西行院へ行ってきた。西行院のある八郷町は手打ちそば屋さんがたくさんある。窓からの景色のいい一件で、田舎そばを堪能し外へ出たら店のとなりがそば畑とねぎ畑で、白いそばの花が満開だった。これを食べたのかと思えばおいしい感動は倍加する。季節の恵みはありがたい。植える、収穫する、味わう、また植える。明日、新米買いに行こう。

9月17日
 何にでもはじめてがある。「はじめて」の現場に立ち会うことは、小さなことでもうれしい。
 今朝美容院に行った。鏡の前に座っていると、スラッと背の高いショートカットの女の子が入ってくるのが映った。中学生位のその子は美容師さんと親しげに会話を交わし、長さについて「切れるところは切っちゃってください」とサバッと言った。私の隣のイスに座ったので、持参の本を手にしたまま聞くともなく聞いていると、明日「黒帯」をとりに行くらしい。美容師さんと共通の知人について話しているうちに、カットは終った。ショートからショートなので、おばさんのように時間はかからないのであった。仕上げに美容師さんが白いボトルを手にとると、
 「それ、何ですか」 と聞いた。
 「スーっとするよ。つける?」
 「うん」 という会話のあと
 「わぁ、頭スッキリしたかんじ」
 「フフ、頭良くなるかもね」
 「えぇ? だといいなぁ。 それ何ていうんですか」
 「シーブリーズだよ。薬局とかに売ってるよ」 と話は続いた。
 彼女は席を立ち、私は読みかけの文庫本に戻った。
会計を済ませて、出て行きかけた彼女が振り返って美容師さんに
 「さっきの、何だっけ。ハーブリーズだっけ」 と聞いた。
 「あぁ、シーブリーズ、シーブリーズだよ」 と美容師さん。
 何だかおなかの底がうれしくなった。
 スポーツ少女の、はじめて自分で買う整髪剤になるのかな。一度聞いたのに、何故だか「シー」が「ハー」に活用しちゃったこととか、中学の時の思い出の一つになるのかな。
 頭さっぱりして、明日、黒帯とれるといいね。直接顔は見なかったけれど、隣の席のおばさんは、だんぜんオーエンしているよ。

9月11日
 台風が過ぎ去って、季節の矢印がぐっと向きを決めた。昼間のアスファルト道路はまだジリジリと暑いけれど、明け方、開け放しの窓からスゥッと入ってくる夜気は、ベクトルの方向「秋」を指している。
 昨日駅前で街路のポプラの剪定をしていた。夏にいっぱい伸びた葉は、冬にはまた丸坊主になる。今日ここらへんの地域はお祭りで、街の角々にお神酒所が建ち、ハッピ姿の人がいる。
 夏がいく。また来年巡っておいで。

9月7日
 台風お見舞い申し上げます。たいへん速度の遅い台風で、被害を拡げているようです。皆様お元気ですか。
 こちらは久々に今日は晴れています。まだ風は強いけれど、台風一過の様子が見たくて堀切菖蒲園に行きました。先日、人様の庭に萩が咲いているのが見えたので、萩のトンネルの様子が知りたかったのです。光がさす菖蒲園には、続々と何組も、近所の保育園のお散歩隊がやってきます。台風の雨がゆき去るのを待っていたのは、虫たちだけじゃなかったんだな。
 萩はまだ一分咲きで、見頃は1週間位先のようです。
 そろいの帽子の子どもたち、亀、ザリガニ、トンボ、みんな楽しそうでした。

2005年8月のユーコさん勝手におしゃべり
2005年7月のユーコさん勝手におしゃべり
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