いざ

ユーコさん勝手におしゃべり

9月25日
 25度がこんなに涼しいなんて。
昨日から急に季節のギアが変わり、過ごしやすくなった。室内の気温計が25度と表示されている。 びっくりした。
 国連で地球の温暖化が議論される前、25度は夏のしるしだった。気温が25度になれば、学校のプールが始まるし、衣服も半そでの登場だった。
 30度超えが夏のあたりまえとなった今や、25度は秋のしるしになったのか。
 8月の終わりにこの欄に書いたスズメガ(コスズメ)に今朝再会した。
 小庭の花に水をあげていると、足元でパタパタと気配がした。店の前の道路でスズメガが羽を開閉してもがいている。すでに飛べなくなった老体のようだ。
 このままでは車にひかれてしまうと思って、片手ですくおうとするが必死に逃げてつかまらない。
 水やりの手を止めて、ホースを置き両手でそっと包んで、ハンギングプランターにのせた。もがいて下の花壇にポトリと落ちて、葉に紛れ、見えなくなった。
 ふっつりと 夏がとぎれた。

9月20日
 7月半ばに小庭で見つけたバッタ、夏の盛りには、大きなメスがオスを背負っている姿をよく見かけた。
 朝の水まきで、ホースの水がかかりあわてて跳んで逃げる時も、つがったままオスは決してメスを離さなかった。
 最近見かけないなと思っていたら、昨日の朝、ハンギングプランターに大きめの一匹がいた。卵を産み終え、気に入った花のもとで悠々の老後を送っているのだろうか。
 一晩たって今朝、やはり同じところに同じ個体がいる。よく観ると、長い後ろ足が片方なかった。
 でもそんなことはものともせず、じょうろの水をかけられて揺れるプランターの草花のてっぺんで、上手にバランスをとってシュッとした顔を天に向けていた。
 また明日も、会えるといいな。

9月18日
 とても残暑とは思えない本格的な暑さで、昼間 洗濯物を取り込むとアイロンかけたてのように熱い。
 熱風のアイロンをかけられて、シワがのびているのではないかと思うほどだ。
 とはいえ、日の傾きは秋へと進む。夏の間中、2時前には店のファサードの西側に張っていた陽よけテントが、今週から不要になった。日光は書籍の天敵である。北向きの店舗にするどい夕日が射し込まなくなって作業が一つ減った。
 昨晩は、南の空に中秋の名月を眺めながら眠った。前日まで冷房なしには寝られなかったので、窓からの景色をみることもかなわなかった。
 マンション群の電気とスカイツリーのてっぺんの灯りのずっと上、網戸越しに見る満月と涼風に秋を感じる。

 ゴッホ曰く 「美しい景色を探すな
 景色の中に うつくしいものを見つけるんだ」

9月9日
 寝室がまくらだらけになっている。
先日、そろそろまくらを買い替えようかな、と売り場に行った。良さそうと思ったまくらを持って、まくらお試し用のベッドに寝ころがった。
 寝る前に本を読むのに調度いい感じのまくらだった。
 買って帰った晩、寝室で本を読む。「これはいい」と気に入ったが、いざ眠ろうとすると、ちょっと違和感がある。
 もう捨てようと思って布団の脇に置いた旧まくらをひっぱり上げて使った。それ以外にも小さな簡易まくらも布団上にあり、こいつが具合よく頭に収まるときもある。
 都合三つのまくらとぬいぐるみ(抱き枕)、それから本を読む時ひじを置くのにジャストフィットの小さなぬいぐるみに囲まれて夜を過ごしている。
 2・3冊の本とまくらたち、にぎやかな寝床の中で、眠っている間は自分もそのオブジェたちのひとつとなっているのだな、と、朝思う。

8月のユーコさん勝手におしゃべり
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