ユーコさん勝手におしゃべり

8月30日
 首都圏が むっちりと密閉されたサウナボックスに囲われたような夏がゆく。
 日が短くなった。8月の最終盤になって、夜明けの風が涼しくなった。永遠に続くのかと思われた蒸し暑さも、日照時間の減少と共に解消されてゆくようだ。
 すっかり食べ尽し茎ばかりになった鉢植えの大葉(青じそ)を抜く。土を入れ替え、初夏にいただいたキキョウの種をまいた。
 来年、ということばが意識の端にのぼってくる。これが咲くのは来年だ。
 カレンダーの三分の二がめくられてしまっても、また新たな白い紙が、私を待っている。

8月21日
 今月も天体ショーがやってきた。
 どこへも出られなくても、空には星が待っている。
 とはいえ、しばらく雨ばかり続いて、窓を開けて空を見ることも忘れていた。
 18日の晩になってようやく雲が切れ、たまっていた洗濯物を夜のうちに一気に仕上げて外に出した。夜空に木星が輝いていて、21日の満月を楽しみにしていたことを思い出した。
 翌19日、明らかに月がふくらんできた。たっぷりあんの入ったどら焼きを真横から見たくらいのふくらみから、だんだんとどら焼きが正面を向いてゆく。そして21日は満月と木星の共演だ。
 19日、スカイツリーのてっぺんの電飾は紫だった。20日は白色。でも、木星の輝きは圧倒的で比較にならない。
 そして今日、楽しみにしていた夜空は雲に覆われてはじまった。11時を過ぎても星はひとつも顔を出さない。まん丸い月が黒い雲の向こうに薄らぼんやり見えている。
 今日、スカイツリーのてっぺんは水色ライトだ。
 遠くの自然は、出会えれば圧倒的だが、見えないときは人工物に負けてしまう。雲の切れるのを、も少し待ってみよう。そしてダメなら、また明日。

8月10日
 台風お見舞い申し上げます。
 時々刻々と天気が変わり、日本列島をなめるように、9号10号11号の台風連隊が通り過ぎた。今日もまだ、そのしっぽが猛威を振るっている。
 東京は夕べ、強風が吹き、換気のため開けた窓のブラインドやカーテンをまくり上げ揺さぶり続けました。
 じっとりとサウナに入っているような日中から一転して、風を浴びる夜は心地よく、大きく窓を開けて、風の音と天空に輝く木星を友に眠りにつきました。
 …8月なのになぁ。
 天候不順とコロナとオリンピック以外何もない夏なんて、ありえないことが、今おこっている。話題にしたくても、今はダメ、今はガマン、今はムリ、のオンパレードで、個人の愉しみはひたすら個人の中で、わきおこり消化されてゆく。
 家の周り以外の、どこかの風に吹かれて、「こんな風に出会った」 と驚きや喜びをこのページで共有したいと、台風のもたらした非日常の強風にあたりながら、祈り願った。

7月のユーコさん勝手におしゃべり
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