ユーコさん勝手におしゃべり |
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8月27日 天気に阻まれて遠出ができない。 今夏、ゲリラ豪雨だらけなのである。天気予報の精度が上り、ピンポイントで雨雲の様子がわかるようになった。行く先で雨が降りそうなら出かけない。 というわけで、本日も、休みをとり千葉館山あたりまでバイクで行こう、という計画は無しになった。 店主と二人、運動不足解消のために、荒川土手を自転車で海まで行くことにした。往復20数キロ、それなら午前中に帰ってこれるし、少しくらい濡れてもたいしたことはない。 土手の公園ではコスモスが咲き始めていた。ススキの穂は少し頭を出したくらいで、これから伸びるのだろう。ひまわりがまだ咲き残っている。 あちこちで草刈作業をしていた。きれいに刈られた跡地では、椋鳥や鳩が地面をついばんでいる。草丈が短くなると地表の虫が見え易くなるので、草刈機の稼動音がすると椋鳥が群れでやってくるのだと、先日足立農業公園のニュースラックで知った。 草花に虫に鳥、目を遊ばせながらペダルをこぐ。しかし土手サイクリングで一番目を楽しませるのは広い空だ。街中では切り取られたような空しかないが、広い土手の上には広い空がある。荒川から葛西臨海公園まで行き、休憩。ここから旧江戸川に入る。対岸にディズニーランドの建物が見え、一段と広い空がある。 「あっち側、あそこらへんは雨が降ってるね」 「そっちの方は、よく晴れてるな」 ひとつづきの空の中に、パレットの絵の具をたらしたように何種もの色がある。 旧江戸川から荒川に戻ると、土手に水たまりがあり、ムッと草いきれの湿度を感じる。 「ザッと降ったんだな」 と店主が言い、 「え〜? 散水車でも通ったんじゃない」 と晴れた上空を見て私がこたえた。 無事に帰り着き、着替えをして店を開けていると、通りかかった知人が、 「イヤ すごい雨でしたね」 と言った。道路は既に乾いていたので気付かなかったが、やはりザッと一雨来たらしかった。 もともと雨から逃れて乗った自転車だったが、偶然にもうまく雨を避けて走ったらしい。 「こんなこともあるんだな」 と店主と顔を見合わせた。 8月24日 カメ産卵。 いや驚きました。特大10個。よくこんなにたくさん甲羅の中に入っていたものである。 昨夕、雨上がりに外へ出ると、2個の水桶に5個ずつ、10個の卵がうみおとされていた。まだうみたてで、5個の卵はカメの体の下にあった。 カメはうんだ後の卵には執着がないので、踏み潰さないように卵を取り出してプラスチック容器に入れた。孵ることのない無精卵だが、二日程はそこに置き、道ゆくカメ友だちにお披露目する。 昨日は産後疲れで口を開けなかったカメだが、エサのアサリを水槽に入れておくと、翌朝にはペロリとたいらげ、更にエサを要求した。おしりを触ると、卵はまだあるようだった。 小庭の葉の上に、今年初見のバッタがいた。野原や実家の庭では時折見ていたが、プランターだけしかないこの小さな庭で、生きつないでいてくれていることがうれしく、ことさら かわいい。 何の変哲もない小さなバッタの子である。「親バカ」の一種であろうか。 8月22日 夏がゆく。 梅雨が長引き なかなか来なかった今年の夏が、猛暑と豪雨を繰り返しているうちに、もう行ってしまう。 朝早く目覚めると、空気が変わっている。寝苦しさはなくなり、一抹の淋しさを伴って吹く涼風のなか三階の寝室から二階に降り、ゴロリと横になって も一度眠る。 「カーメたん おはよう。」 カメに話しかける人の声が外から聞こえ、目が覚めた。散歩中のおばあさんが、店横の小庭に出ているカメにあいさつしている。 天候不順のせいか、7月はじめに七個の卵を産んだ後、またすぐ食欲不振になり卵を産む動作を繰り返した。生みの苦しみは一月半も続き、先日一個だけ排出した。 その後何となく落ち着いているので、今年はこれで終わりなのか、もう一段あるのか、顔色を変えることのない生きものなのでわからない。 自分の中の葛藤はおもてに出さず、じっと人のはなしを聞いている。 「カメは えらいな。」 と声に出して、私も起き上がることにした。 8月14日 お盆休みである。街は行き交う人も少なく のんびりしている。 朝、小庭の花柄摘みをしていると、2・3歳の男の子がパパと手をつないで駅の方へ歩いてきた。男の子は何にでも興味があり、 「あ、ムシだ。」 としゃがみ込む。 「ああ、みみずが死んじゃってるねぇ」 と休日のパパもフォローする。 うちの隣りのお店の角にある二宮金次郎像の前で、男の子が立ち止まり、 「ビーサンはいてる?!」 と声をあげた。 昔の人のかっこしているのに、「ビーサンはいてる」という新鮮な驚きが伝わってきて、思わず頬がゆるんだ。 「あれは、ビーサンじゃなくて…」 とパパは たどたどと説明しながら歩いて行った。 8月4日 暑い。雨続きの7月がウソのように連日猛暑である。 夏のサンダルがひとつ欲しいな、と思いながら、炎天の街で自転車をこいでいた。すれ違う人のサンダルの足もとが気になって、つい見つめる。そのうち頭の中で「さんだる」が活用をはじめる。 「サンダらない サンダります サンダる。 サンダる時 サンダれば サンダレ! 」 ショッピングモールの靴屋さんに行き、まずサンダルコーナーを見る。ピンとこないまま、目はスニーカーの方へ行き、結局 今履いている気に入りのと同じスニーカーを買った。 初志貫徹できず。でもバーゲン価格だったのでうれしくて、そのまま新品の方を履いて帰ってきた。気候はどうでも、好きなものは、好き。 空調の効いた店内で他の買い物をすませて外に出ると、ムアっと暑い。数歩歩いただけで汗がにじんでくる。 でももう頭の中でサンダルの五段活用は起きなかった。サンダルは来年にしよう。 7月のユーコさん勝手におしゃべり |