ユーコさん勝手におしゃべり |
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4月26日 ツバメ初見。 今年も堀切菖蒲園駅舎にツバメが来た。駅の改札を出た先のガード下の電灯の上で、去年の巣を修復して使っている。 今日は4月末とは思えぬ冷たい雨で、駅前の信号を待つ間、ガードの下へ入った。もしかしたらと思って見上げると、巣から黒く長い尾がはみ出していた。 口角が上がり目尻が下がり自然と笑顔になってゆく。お客様に届ける本たちの入った袋を抱えて、信号が変わるまで眺める。発送が終わって帰り道にまた見上げる。寒さのせいか身じろぎもしていない。 さっそうと飛ぶ姿は、また今度のお楽しみだ。 ほんの2・3分の距離の中に、観察地点がまたひとつ増えた。 4月23日 好天に誘われ、店主のバイクの後ろに乗ってミニツーリングに出る。 忙しく車の走る都内を抜け、京葉道路と外房有料道路を通って、目的地は千葉 昭和の森である。高速の両側の景色が市街から郊外へかわる。ちょうど田んぼに水をはりはじめる時期で、澄んだ水が陽に輝いていた。 高速をおりて一般道に入ると、前方にキジがいた。徐行するバイクの前の舗装道路を、まずメスが、続いてオスがゆっくり歩いて渡っていった。緑の多い山道であるが、周囲には整備された工業団地がひろがっている。 昭和の森のまわりは郊外型高級住宅地として開発が進んでいて、道に迷いながら入口を探す。駐車場に続く道へ入ると、イキナリ、広大な公園地がひろがっていた。 きれいに手入れをされた緑地と、意思を持って保存された森と池があり、高台の展望広場からは九十九里浜がくっきりと見える。 ゴールデンウィーク前の平日だったので、人出は少なかったが、休日は随分人が来るのだろう。 湿地へ向かう道で今年の初トンボを見る。大きなトンボもいたし、色あざやかな糸トンボの姿もあった。カエルが大合唱している田んぼには、おたまじゃくしがびっしりと泳いでいた。 道の隅に座禅草が濃い紫色の花弁を並べて立てている。図鑑で見るのと同じ姿だ、とカメラに収めた。 すっかりリフレッシュして、またバイクに乗り、店に戻った。 途中で出会ったてんとう虫を、持参の不織布に入れて持ち帰った。この小さな自然のおすそわけのおかげで、今年まだ小庭にはアブラムシの大発生はない。 帰宅後すぐ、袋の口をあけて虫たちを放す。袋の中でさっそくカップルになっているてんとう虫もいて、思わず「ガンバレ」と声をかけた。 4月19日 ジャスミンが咲き出した。店の横の小庭の壁に赤いつぼみがびっしりと屹立し、その中に星を撒いたように点々と純白の花がひらいた。 いつもその最初の一輪をみつけるのを楽しみにしているのだが、今年は店主に先を越された。 おとといの朝、「ほら、あそこ」と指さす先にはじめの一輪があった。 外へ出た時、香りには気付いていたのに、天を仰がなかったのはうかつであった。 しかし翌日、白いさつきの一輪を私がみつけ、店主と私のさいしょの花探し競争は今のところ五分と五分である。 春もたけなわとなると、てんとう虫が欲しくなる。アイビーにアブラムシがつくからだ。アブラムシはいやだが、小庭にはカメがいるので殺虫剤は使いたくない。そこでてんとう虫である。てんとう虫は成虫も幼虫もアブラムシを食べる。うどん粉病の菌を食べる種類もあるそうで、春から夏の強い見方なのだ。 野山へ出かけた折にみつけると、袋に入れて連れて来て小庭に放しているが、いかんせん彼らは自由に飛べるので、どれだけ居ついてくれているのかはわからない。何匹いるかわからないけれど、時に卵をみつけたりすると、とてもうれしい。 数日前、荒川の土手を自転車でさかのぼって、八重桜をめでに足立都市農業公園へ行った。その途中、土手でてんとう虫の群れを発見、童心に帰って虫取りにいそしんだ。 その後、たくさんのてんとう虫を入れた袋を持って、公園で桜見物をした。八重桜を見上げると、花もこちらを向いている。ほんのりとした色合いに、技巧を凝らした大きな顔が美しい。大木になっても花がみな下を向いて咲くサービスの良さは、桜族の真骨頂だ。 帰宅後さっそく袋からてんとう虫を放った。 「さあ 思う存分、召し上がれ」 と。 4月12日 ♪ 眠ってるあいだに 夢みてるあいだに 時は流れ〜 過ぎてゆく〜 ♪ と、頭の中にシャンソンが流れる。 あっという間に目の前に様々な花があらわれ、芽が息吹いていた。今や、ハナミズキもツツジも咲き出した。 まだかまだかと満開を待った桜は、もう葉を出している。ジャスミンさえ来週には咲き出しそうだ。 人生は長く、人生は短い。 小さな悩みをつのらせている間に、過去の大きな悩みを乗り越え忘れていたりする。プラスとマイナスは、長い目で見れば、上手にバランスがとれているのだろう。 おととい、今週末で終了の「クマのプーさん展」を観に、渋谷bunkamuraザ・ミュージアムへ行った。都内でも所によっては雪になった冷たい雨の朝だった。 10時の開場を待って中に入ると、「閉会も近いので、平日限定サービスです」といって、プーさん展のポスターが配布された。 時ならぬ寒さに、「ホントに今日行くの?」 と渋っていた店主を、 「今日行かなきゃ、終っちゃうでしょ」 と半ば強引に誘い出したけれど、原画のプーさんの後ろ姿に店主はいたく感銘していた。 天候のためか展覧会全体もゆったり見られて、満足して店に戻った。 小鳥たちもいそがしく鳴き交わしている。さあ目を凝らして、春を見よう。 3月のユーコさん勝手におしゃべり |