ユーコさん勝手におしゃべり

10月7日
 金木犀の季節になった。街に埋もれていた金木犀の姿が、風にのってたちあらわれてくる。
 風向きによって、木から遠く離れていても香りに包まれるときもあり、花をつけた木が見えても香りの到達しないこともある。歩いていると何度もいいにおいがして、そのたび鼻腔を開き、目を見開いてきょろきょろする。
 じんちょうげ、ジャスミン、くちなし、きんもくせい、と季節ごとに好きな香りの花の名を順に唱えて、一人ニヤニヤしている。
 今朝は、都立水元公園へ散策に行った。遠足シーズンで、何組も保育園、幼稚園のグループと出会う。幼児の会話がかわいらしくおもしろくて、そのうちの一組に少しついて歩いた。
 ここは釣りのメッカでもあり、たくさんの釣り人が集っている。幼児の通る川辺に5・6本の釣り竿が並んで川に糸を垂れていたが、そばに人がいない。すると一人が思いついたとばかりに大きな声で、
 「誰か、透明人間がやっているんじゃない」 と言った。
他の園児も「そーだねー」と納得していた。確かにそう見える。
 数人のおじさん達が、少し離れたベンチで大きなタモやクーラーボックスをそばに置いて談笑していた。
 店に帰ってプランターに水をやる。ムスカリがあちこちに芽吹いて成長している。半年振りの再会に、「今年も会えたね。またよろしく」 と声をかけた。
 こちらが忘れていても一度埋めれば毎年顔を出してくれる。その律義さに感謝。

10月3日
 あっぱれな秋晴れが2日続いた。こんな日は花を愛でに出かける。
 まず昨日は、足立の都市農業公園へ土手のコスモスを見に行った。風に揺れることがこんなに似合う花はない。
 朝ホームセンターに行ってミニチューリップの球根とパンジーの苗を買い、スーパーでお弁当を買って公園へ。朝昼兼用の食事をして荒川の土手の上からコスモスを見降ろし満足して帰宅。公園内の水田で稲穂が黄金に輝いていた。
 店に帰って球根を埋める。何玉入れたか春までに忘れておくために球根の包みはさっさと消去する。
 今朝は、萩のトンネルをくぐりに自転車で堀切菖蒲園へむかう。満開だ。
 萩には日ざしが似合う。トンネルの中の木洩れ日と朱紫の花房が至福をもたらす。今年も、秋をむかえた、と安堵する。
 来週末には予約していたビオラの苗が配達される。春を待つうれしい秋冬がやってくる。

    野茨に からまる 萩のさかりかな    -芥川龍之介-

9月のユーコさん勝手におしゃべり
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