ユーコさん勝手におしゃべり

4月24日
 つばめが来たよ。
 22日に堀切菖蒲園の駅に一組のつばめ夫妻が巣をつくっていた。同じ頃に同じことがおこる喜びを、年々強く感じるようになる。個々の肉体に生老病死は避けて通れないが、世界はかわらず続くことを再確認させてくれる、可愛い姿だ。

4月19日
 桜を追って巡る日々も、後半になった。
 4月7日満開の砧公園へ行き、世田谷美術館の平泉展を見る。9日は埼玉・幸手の権現堂桜堤へ行く。菜の花の香りが土手いっぱいにひろがって、菜の花と桜と青空という景色が圧巻だ。ここを故郷にもつ義母と、おいしいそば店と鷲宮神社へ足をのばす。子どもの頃大きなお宮と思っていたが、大人になってから行っていないので、本当に大きかったのか子供だからそう思ったのか確信が持てなかったのだそうだ。「本当に大きくて立派だったので安心した」と言っていた。同行したこちらも、思い出の安泰に、うれしかった。
 次の週、上野公園へ行き国立博物館で阿修羅展を観る。阿修羅の細い肢体と色っぽい美尻に驚く。向かって左側の唇をかむお顔が、よい。公園は葉桜となり、先週までの狂乱に近い宴の様がうそのようだ。皆静かに散策している。
 葉桜の東京を背に、春は北上し、上昇する。15日は、妙義山へ行き中腹で満開の染井吉野と出会う。群馬・四万温泉へ行くと、旅館の仲居さんが「2・3日前に咲き始めたところなんですよ」という。タイムスリップしたように、開きそめの桜花と再び出会う。下界では葉っぱだけになったサンシュウの黄色い花が、満開だった。
 そして、今日は、東京・足立区の都市農業公園へ八重桜を見に出かけた。ここには様々な種類の八重桜が並んでいて、毎年ゴールデンウィーク前の楽しみとなっている。荒川土手に植えられたチューリップも見ごろで、幼児がたわむれるのにちょうどよい高さに咲く健気な花に、手を合わせたくなった。大木なのに人に見やすいように枝を垂らし、皆こちらを向いて咲く律儀な桜と共に、春の両巨頭だ。
 さぁ、これから春はさらに北へ上へ、日本地図をなめるようにすすんでいく。

4月6日
 4月に入ってから、雨さえ降らなければ午前中自転車に乗って敷物を持って出かけている。花は5分から少しずつ成長し満開になった。自転車を東西どちらに向けても桜の公園があり、桜の土手がある。今日は今年初めてあげは蝶を見た。
 店に帰ると、ローズアーチの黄色のジャスミンも咲きだした。
次々新しいことが起こる春の日を過ごしていると、夕方、店の外の均一台に日が射していた。店は、本が日に焼けないように北向きに建っているが、夏が近づくと西から日が射しこむ。晩秋から待機していたUVカットの日除けを出した。
 日は長くなり、強くなる。「今日から仕事がひとつ増えるな」と、これもまた春のよろこびか。

4月5日
 秋の自分の行動を、自分でも忘れていた。
 濃いピンクのミニチューリップが咲き終わり、「今年のチューリップは終わった」とばかり思っていたのに、細い茎がスーっと伸びて小さなつぼみをつけた。名残の2番花かと思っていたら、淡い桃色と白のチューリップがひらいた。
 何色の球根を何球埋めたか忘れていたのだ。
 時間差で来た、なんてうれしい春のよろこび。

3月のユーコさん勝手におしゃべり
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