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9月20日 店の備品を買いに自転車で浅草橋まで行った。あいかわらず浅草界隈は大にぎわいだ。交差点で止まると、いろんな音が耳に入ってくる。 レンタル着物を着た女性とTシャツ短パンの男性のカップルとすれ違った時、女性の 「クァマボクゥ」 という声が聞こえてきた。 ああ和食を食べたのだなとわかる。カタカナで書けばそれは「カマボコ」だが、音は丸く、喉の奥で震わせた感じがする。 Merci beaucoup(メルスィ ボクゥ)に近いリズムの「カマボコ」は私の知っている「蒲鉾」とはちょっと違う食べもののように聞こえた。 音はおもしろい。発音発語に興味を持ち、いろんな音を聞いてみたり出してみたりした学生時代を思い出した。 そのころアルバイトをしていた印刷屋さんが何カ国かの大使館の名刺印刷の仕事もしていて、その中に苗字も名前も「ン」からはじまるお客様がいた。たしかアフリカのガボンの方だったと思う。 日本だとしりとりで最後にンがつくと負けなのに、ンから始まる音がふつうにあることが世界の広さを教えてくれた。 世界は狭くて広くて、おもしろい。 9月19日 雨上がりの明け方、窓を開けると、刺すような冷たい風が吹き込んできた。 昨日までは真綿で包み込むようなモワッとした空気だった。 季節は一晩で入れ替わった。 近所で彼岸花のつぼみを見た。久しぶりに室温を気にすることなく朝まで眠った。 暑すぎて咲かなかった夏の樹の花がじゃんじゃん咲き出す不思議な9月下旬である。 9月8日 ジェットコースターのような9月のはじまりだった。 9月とは思えない酷暑で幕を開け、台風が来た。台風が通過した5日の晩、雨の加減を気にしていると地震があった。村上春樹の小説なら主人公が、「やれやれ」と嘆息するところだ。 台風の後二日間は平穏な天気で、普通の夏がやっと来た。かつての8月、夏休みの気候である。気温30度がこんなに楽ちんだとは今まで思わなかった。 ともあれ7日は満月でしかも皆既月食だった。夕食後ちょっと仮眠して、日付が変わるころ寝室に行った。1時半に自然に目が覚め窓越しに月を眺める。眠っては起き起きて眺めては眠るを3時半くらいまで繰り返し、すっかり満足して朝まで寝た。 今朝、再び35度の猛暑予想が出た。その後は秋雨前線が来るという。 9月のジェットコースターはいったいいつまで続くのだろう。
8月のユーコさん勝手におしゃべり |