ユーコさん勝手におしゃべり

2月14日
 おとといの晩は肉まんみたいだった月が、少し膨らんで鈴カステラのようになった。
 満月まであと三日。
 わけのわからない大人の論理が、五輪の祝典も世界地図利権も、古代から変わらない人間の業をみせてつけている。
 最近、母の遺した茶筅と器を実家から持ってきて、抹茶をたてている。いつも淹れてもらうだけで自分でやったことは無かったのだが、何となくできているのは母の小さな遺産かなと思う。
 満月の夜は、晴れるといいなあ。抹茶を淹れて、いったん落ち着こう。

2月13日
 春は黄色からやってくる。街路のロウバイに、民家の庭のミモザのつぼみ、土手の菜の花。先週は菜の花のそばに紋黄蝶を見かけた。
 立春を過ぎ一歩進んだかに見えた季節だが、今日は今月二度目の降雪予報が出た。連日の寒風晴天でカラカラに乾いた空気を破り、雨やらみぞれやら雪やらが、白くなったり透明になったりしながら降ってくる。
 日は確かに長くなってきたが、「カメが目を覚ましちゃうんじゃないか」と心配して、冬眠バケツのフタをそっと開けてみるような日は、まだ一日もない。
 今日はスーパーで、新物の茎わかめと、ほうれん草を買ってきた。三陸産の茎わかめはコリコリと若い春の味がする。寒風にさらされ甘味の増したほうれん草やネギと並べて、あつあつのラーメンにのせ、春の兆しと真冬の恵みを一気にいただいた。
 外で、何かが降ってくる音が強くなった。雨からみぞれに変わったのかもしれない。
 凍てつく寒さが、しっかり冬にカギをかけるこんな時、蝶はどうして過ごすのだろう。

1月のユーコさん勝手におしゃべり
それ以前の「おしゃべり」