ユーコさん勝手におしゃべり

2月28日
 2月がゆくけど、今年は今週初めにお雛様を出したので慌てなくてすんだ。ほんの数日ながら、やたらと暖かなお花見日和があったので、春に向けて背中を押されたのだ。
 小さなお内裏様だけが本物で、あとはキューピーさんを三人官女に、紅白のうさぎの木彫りを右大臣左大臣兼五人囃子にみたてて、おままごと的雛飾りだが、そこが気に入っている。
 まだお菓子はない。3月に入ったらさっそく、「何にしようかな。」と考える時間が一番楽しい。

2月14日
 春は 匂いとともにやってきた。
 冬も目を楽しませる花木はいろいろあるが、香りは水仙くらいだった。
日が伸びるにつれて、ふっと流れてくる梅の香や菜の花。マスクをしていても、鼻が春を感じて、戸外へといざなう。
 店主がルートを作り、いそいそと自転車の仕度をする。自転車にまたがれば、5分も走らぬうちに荒川がある。コロナが流行る前は、月に一度は車で温泉旅に出たが、今は遠出も密も避けて自転車に乗る。
 道が道でつながってゆくように、川は川へとつながってゆく。
 先週は、荒川をのぼって、旧芝川、芝川、毛長川、綾瀬川と支流をたどって、埼玉県と東京都を出たり入ったり、半日40キロほど走った。
 途中、公園や緑地があれば寄って梅の香を楽しみ、寒桜が咲き出したのを喜ぶ。昼食はたいてい、店主が念入りに調べた地元の食堂へ入る。
 池や河原に カメラをかまえた人たちがいると、うしろをそっと通る。誰も声を発しないながらも、さわさわと熱気が拡がっていて、望遠レンズの先の細い枝に、カワセミがとまっていたりする。
 水辺で純白のコサギが、貝かザリガニでも探しているのだろうか、スリムな足を細かく振動させて、川の底をさぐっている姿も可愛らしい。
 天気の良い休日、荒川を出発して、海方面へ山方向へと、支流をつたってゆく。
 「こんなに川があるとは思わなかった。」
 と店主が感嘆の声をあげた。
つらい我慢も多いけれど、これはコロナ禍がなければ知りえなかった、新たな発見である。

2月8日
 2月は逃げ月。またたく間に1週間が過ぎていった。
 先月、店舗で使うものを用立ててもらっている近所のお店へ行った。時刻は1時過ぎだった。店長さんに用向きを言うと、
 「今日は、2時には出かけるので、それまでに用意しときます。」
 「それじゃあ、2時前に取りに来ますね」
 と会話を交わし店に戻った。時々時計を見ながら仕事をしていると、店のドアが開く音がして、先ほどの店長さんが入ってきた。早速応対に出て、
 「わざわざ持ってきていただいて…。 おでかけのところ、すいません。」と言う。
 「イヤイヤ、今、おでかけしてもいいのかって、ところですけど…」 と応えて笑った。
 商品を受け取り、代金を払う。お互いマスクごしの短いあいさつだったが、半月たっても頭に残っている。
 商用なのだから、不要不急ではないけれど、医療や教育関係以外の人が忙しくしていることも、今や罪の意識を伴うものなのだろうか。
 コロナ禍となって久しく、「おでかけ」のハードルは、高止まりしている。
 今日はまた北風が強い。天気予報が、
「寒気にともなう 筋状の雲」 と言っている。 早く感染がおさまって、
「歓喜にわき立つ うららかなおでかけ日和」 がやって来るといい。

1月のユーコさん勝手におしゃべり
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