【 古書目録のてびき 】


目録の詳細について
古書には、さまざまな人の手を経てきた痕跡が残されています。
大事に保存され、扱われた本であれば、百年経っていても美しい状態で現れます。
しかしある人は線を引いたり書き込みをしながら【線引・書込】、あるいはカバーを捨てて【カバー欠】読んだかもしれません。虫が食うことも有れば、痛んだ本を自分で直す【改装・補修】人がいたかもしれません。また、作者の【署名】など特別の意味・価値を付加された本もあります。
 古書目録は、品物の現物を見なくてもご購入いただけるように、こうした情報を伝えるものですが、スペースの関係から上記【】内のような略語を用いたり、情報の優先順位が低いものを割愛せざるを得ない場合もあって、慣れるまでは、戸惑われる方も多いと思われます。ここでは目録によく使われる基本的な用語を中心に、簡単にご紹介いたします。ご参考としていただければ幸いです。もちろん当店の本についてご不明の点は、お気軽に当店までお問い合わせください。

用語解説
【初】初版(第1版第1刷)の略。1番最初に刷られた本。文学書や文学賞作品では初版かどうかが価格を大きく左右する。当店の「戦後作家/初版コレクション」では文学書の発行年の後に「初」と入れております。(「昭25 初」で昭和25年初版の意)
【元版】新装版や改訂版などに対して、最初の版の意味。
【元帯】特に賞の受賞など、出版後の事情によって帯が変更された場合があるため、1番はじめに出版された時の帯であることを示す。
【カバー・カバ】カバー付きの略。もともとカバーのない本もある。
【元パラ・元セロ】出版時にもともと付いていたパラフィンやセロファン。それだけ元に近い状態が保たれていることを示す。
【帙】書物の損傷を防ぐために、包むもののこと。元々和本に用いられたが、最近は限定本などにも使われる。
【クロス】本の表紙など装丁に用いられる布。クロス装は布装の意。
【裸本】本来カバーや函(箱)などがあったのに、今は何もない本。
【合本】雑誌など、何冊かをまとめて1冊に仕立てたもの。
【図版】挿絵、写真、解説図、地図など文字以外のものの総称。
【オリジナル】印刷ではない版画類や絵、写真プリントなどを指す。
【署名・献呈署名(献署)】著者などのサイン。後者は贈呈した相手も記されたもの。
【識語】署名などに添えられた直筆の各種詞書のこと。
【記名】以前の所有者による、自分の名前の書き込みのこと。
【蔵印】以前の所有者の蔵書印
【焼・ヤケ】日にあたって褪色したり、タバコのヤニなどで変色した状態。
【カケ・欠】ある一部分が欠損していること。「背カケ」「カバー少カケ」など。
【傷】帯や本の背、カバーなど、主に局部的に見られる疵。
【ムレ・水クイ】湿気や水分が入って本がふやけたりページが波打っている状態。
【スレ】カバーの印刷や木版の装丁部分などがこすれることでかすれ、多少不鮮明になっている状態。
【痛・疲れ・疲】本の状態が、全体として主に年月のために、あまりよくないこと。
【四六版・菊版】本の大きさ。前者は現在最も一般的なハードカバーのサイズ。後者は古い時代のものに多く、四六版より一回り大きい。
【袖珍本・袖珍版】衣服の袖の中に納まる程度の大きさの本のこと。現在の文庫本に相当する。
【ビニールコーティング】表紙・函全体に、図書館はじめ公共施設で使われるフィルムルックス等を貼り付け、フィルムコーティングされたもの
【トンネル函】もともと函の背の無い形態の函


 なお、詳細部分に記述のないものは、特に問題のない、いわゆる美本です。



 ● 本の部位名称






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